クローン病とは、初期症状から治療法まで実際に罹ってみての経験談

生活

元々ストレスなどで腹痛をよく起こしていた私、23歳の3月頃から腹痛を起こし仕事も忙しい時期で「どうせ仕事のストレスだろ」と思い込んでました。
腹痛に悩み1週間くらいが経ち、流石に病院で診てもらうことに、しかし診察結果は【ストレス】と診断され漢方をもらい帰宅。1週間程は大丈夫だったのですが、再び腹痛が起き段々と痛みも強くなり、今度は別の病院に行くことにしました。

病院の診断結果

別の病院での診断結果も「ストレスです」との事で整腸薬をもらい、1週間様子を見ると言われ帰宅。しかし、整腸薬を投与しても全く痛みは治まらず、この頃から便は緩くそれが原因で肛門辺りが痛くなり、イボ痔だと思いましたが歩くのも辛いくらい痛くなったので再度病院で診てもらうことに。

肛門周囲膿瘍

診断結果は「肛門周囲膿瘍」と診断され、急遽手術で取り除くことに。
激痛と闘いながらも手術を終えてその日のうちに帰宅し、しばらく様子を見るので数日おきに通院することに。
そのことを会社に伝え翌日は仕事を休み、病院で診てもらい経過確認を行い1週間ほどで落ち着きました。(この時は手術の痛みでお腹の痛みは感じないくらい麻痺していました。)

再び腹痛に襲われる

手術後も食欲は減り、何を食べてもおいしいとは思えずに再び腹痛が起きました。すぐに病院に行き、「術後のストレス」診断され、整腸薬をもらい様子を見ることに。しかし、痛みは治まらずこの時に血便も出て歩くことも辛いくらいに悪化したので県の大きな病院に行くことにしました。

大きな病院で腸炎と診断

病院に着き、受付を済ませて問診→血液検査→CT検査→点滴を行いその日は痛み止めをもらって帰宅。翌日に結果が出て「腸に炎症がある」と診断され、炎症数値も正常値が0~0.14hとされていますが18.14hでした。先生によく一人で歩いてきたねと驚かれたくらいの数値だそうです(笑)

腸炎にも種類があるので病状の特定と治療のためすぐに入院してくださいとのことでした。
2週間ほどの入院になると聞き、会社と家族に連絡をしてそのまま入院することに。

入院生活の始まり

入院した日から絶食で、水分補給は水のみで点滴だけの生活となりました。発熱もあり、痛みや血便も治まることはなく少しして肛門周囲膿瘍が再発。血液検査、CT検査を行い大腸の炎症であることが分かり、内視鏡検査を行うことに。

内視鏡検査の結果「クローン病(大腸型)」と診断

内視鏡検査の結果潰瘍の状態からクローン病(大腸型)と特定。クローン病は消化器官全てに潰瘍ができる可能性があり、その中でも私は大腸と診断されました。

クローン病とは

免疫細胞が何かしらの反応で自分の細胞(消化器官 )を破壊し、それによって潰瘍が起きてしまうことで、原因が解明されておらず、完治方法がないことから難病指定されている病気です。

  • 10代後半〜20代前半に発病する割合が高い。
  • 男性の割合のほうが高い。
  • 年々増加傾向にある。(2012年では36,418件)
  • 原因はわからないが食生活、ストレス、遺伝的要因などではないかと言われている

クローン病の治療の始まり

クローン病と診断されすぐに治療法の一つであるレミケードと言う免疫抑制剤を投与して治療していく方針になりました。それに加え、エレンタールと言って成分栄養剤(胃腸に負担をかけずに栄養補給する)を服用することとなり、他にもイムランとメサラジンという錠剤を毎日飲むことになりました。

しかし、レミケード投与後も8度を超える発熱が続き、腹痛も治まることがなく、更には3回目の肛門周囲膿瘍が発生し、改善が見られないとのことで別の治療法へと移りました。(腹痛が治まらなかったことからエレンタールはすぐに服用中止となりました。)

次段階の治療

入院してから1ヶ月が経とうとしており、レミケードを投与しても効果がなく、症状が改善されないとのことで、先生に言い渡されたことが

人口肛門造設と顆粒球除去療法

というものでした。

人口肛門造設

炎症が治まらないのは腸液がでていることがあげられ、腸液の分泌をストップして大腸を休ませる目的でした。

人口肛門というのは耳にしたことはありましたが、まさか自分がこのようなことになるとは思ってもなく、とてもショックでした。

顆粒球除去療法

これは血液の成分のうち、炎症に関わっている白血球(顆粒球)を取り除く療法です。

輸血と同じ太さの針で血液をとり、濾過して体内に戻すといったようなものです。これを週に2回行い、合計10回行うこととなりました。

人口肛門造設後

人口肛門造設の手術を受け、翌日から起き上がる練習、歩く練習とリハビリのような生活でした。初めての大きな手術ということもあり、この時の痛みは凄まじく痛みで眠れないほどでした。
少ししてからレミケードの効果が無かったので別の免疫抑制剤のステラーラという薬を投与することとなりました。

ステラーラ投与後初めての食事

ステラーラ投与後、人口肛門造設したこともあり発熱や腹痛も少しずつ収まってきたのでエレンタールも再開することとなりました。落ち着いた期間が長くなり、そこから少しずつ食事も摂っていくことになります。ここで1か月程の絶食生活に終止符が打たれました。
最初は重湯でお粥をさらに液体にしたようなものからスタートし、発熱や腹痛が起きなければお粥→固形物と段々と一般の食事になっていきました。1か月ぶりに食事を食べた時は美味しすぎて泣きそうになりました。(笑)

そこから小腸にも炎症による狭窄(腸が癒着などによって塞がったり狭まること)がないかバリウム検査を行い、小腸側の大腸の状態を確認するため内視鏡検査を行いました。

結果は、小腸に狭窄などはなさそうでしたが、大腸は直腸を除いた全域に潰瘍が発生しているでした。

検査後の治療方針

担当医に呼び出され、話した今後の治療で人工肛門を取り除くには大腸を取り除く必要があるとのことでした。理由は再び大腸に食物などが流れると腹痛などが起き、それによって肛門周囲膿瘍やがんなどの合併症のリスクも高くなるためでした。

その話をされた時は、ショックが大きすぎて頭が真っ白になり言葉がでませんでした。
手術するまでの準備に時間がかかるので1か月ほど考える時間をもらいました。しかし、 このままずっと人工肛門か大腸を摘出するかの二択という中で、人工肛門であり続ける方が辛いと思い大腸の摘出を決断しました。

一時退院

ここで2か月に及ぶ入院生活が終わり、食事制限などの指導を受けて次回の手術までの退院となりました。退院後もしっかりと成分栄養剤の服用とステラーラの投与は続きました。

外に出れた時はとても気持ちが良く、入院生活のことを思うと家でゴロゴロしているだけで幸せだと感じました。人工肛門によるストレスはありましたが、発熱や腹痛に悩まされることもなく健康時の時と変わらない生活で、仕事にも無事復帰できました。

手術のため再入院

退院からしばらくして病院から連絡があり、手術の日程が決まったので退院してから半年くらいで再度入院することとなりました。

手術の2日前に入院し、前日からは絶食で手術当日という流れでした。

手術当日

手術の時間は朝の8時半、手術時間は10時間と見込まれており2回目とは言え緊張しているのが自分でもわかりました。

そして手術室に運ばれそこから準備が始まり8時間もの手術を終え、気付いたら病室のベッドでした。しかし、麻酔が効いていたのでその日は意識が朦朧としていたのでほとんど記憶がありません。

翌日以降

手術の次の日から体を動かす練習が始まり、最初は体を起こすだけでもやっとで、立ち上がるまで数日かかりました。初めて立ち上がった時お腹にぽっかり穴が開いたような感覚で、歩くとその振動で痛みが走りました。

食事は数日後にお粥がでましたが、食後に体温を測ると熱がありました。なので、一度絶食があり、数日様子を見ることに。その後の経過では問題なく、1週間程で歩けるようになり手術から10日で退院することができました。

退院後

退院後も治療方針は変わらず、成分栄養剤とステラーラの投与が8週間毎にあり、次のステップで人口肛門を塞ぐ為に小腸に潰瘍や潰瘍あとがないかの細かな確認をするため、カプセル内視鏡で検査入院することになり、そのカプセル内視鏡の前に念の為、消化液で溶けるダミーのカプセル内視鏡の検査を行いました。

カプセル内視鏡

カプセル薬より1〜2周り程大きなカプセル型のカメラで、通過した消化器官を撮影して記録する検査で小腸などの検査で使われるそうです。

最初からカプセル内視鏡で消化器官全体の確認を行えばよかったのでは?と思い、今の段階で行う理由を聞いてみると、

カプセル内視鏡は消化液で溶けることがなく、小腸に狭窄や瘻孔があるとカプセル内視鏡が体内で留まってしまい、最悪手術で取り除く必要がある。

とのことでした。

検査結果

検査自体は朝にカプセル内視鏡を飲み夕方頃に排出され、結果は小腸に炎症はありませんでした

小腸に炎症がないことが分かり、その結果、少ししたら人口肛門を塞ぐために手術を行うこととなりその日まで一時退院となりました。

3ヶ月後に手術

退院から3ヶ月後に手術の予定が取れたとの事で病院から連絡があり、手術の前日から入院→絶食→手術と言った流れでした。
手術も無事に終え、歩行練習や食事も前回の入院時と同じような流れで、病状の変化はなく10日ほどで退院することができました。

現在

寛解期が続き、食事から栄養も十分に摂れていることから成分栄養剤も現在は飲んでおらず、毎日飲んでいるメサラジンとイムランと8週間おきのステラーラの投与を行っています。

振り返ってみて

入院期間も初めは2週間ほどと言われていましたが、入院時は重体だったために検査も慎重にならざるを得ない状態で退院までに2か月程かかってしまいました。でも、現在では長い期間寛解期ですが、人工肛門の時に何度か便が詰まって腹痛を起こし救急で外来に行くこともあり、またストーマの周りの肌荒れなどの管理に苦労しました。

これから

クローン病に罹って食についてや、不自由なく暮らすことができることはとても幸せなんだなと実感することができ、それに加えて、本を読む時間や趣味も増えたのでクローン病に罹って入院した時間が決して無駄だったわけではありません。
まだまだクローン病について解明されていないことも多く、再燃の可能性もあるのでこれからも食事制限などを行いながらしっかり病気と向き合っていかなければいけません。

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